君たちはどう生きるか(ジブリ)伝えたい事・言いたい事【考察】宮崎駿のありがとう

2023年7月公開のジブリ映画「君たちはどう生きるか」。

「もう一回観たい」という感想が多い映画だとメディアで報道されていました。

わたしも映画を観て、確かにもう一度観たいと感じました。

面白い!

という感想も多い一方で、

意味不明」

「結局伝えたいこと・伝えたかったことは?」

「何が言いたいことか分からない」

という感想も多く聞かれます。

そこでこの記事では、

ジブリ映画「君たちはどう生きるか」伝えたいこと、何が言いたかったのか

を考察してまとめました。

ネタバレ含みます。

目次

ジブリ映画「君たちはどう生きるか」伝えたいこと・何が言いたい?
(1)葛藤の中で生きるということ

「僕らは葛藤の中で生きていく」

宮崎駿監督が、ジブリ映画「君たちはどう生きるか」を通して伝えたいこと、言いたいことは、

まず、

僕らは葛藤の中で生きていく

ということだと考えられます。

次の記事をご覧ください

 宮崎監督によれば、引退宣言を撤回して臨んだ今回の作品はずっと自分が避けてきたこと、自分のことをやるしかない」という思いだったそうだ。「陽気で明るくて前向きな少年像(の作品)は何本か作りましたけど、本当は違うんじゃないか。自分自身が実にうじうじとしていた人間だったから、少年っていうのは、もっと生臭い、いろんなものが渦巻いているのではないかという思いがずっとあった」

 「僕らは葛藤の中で生きていくんだってこと、それをおおっぴらにしちゃおう走るのも遅いし、人に言えない恥ずかしいことも内面にいっぱい抱えている、そういう主人公を作ってみようと思ったんです。身体を発揮して力いっぱい乗り越えていったとき、ようやくそういう問題を受け入れる自分ができあがるんじゃないか

好書好日(https://book.asahi.com/article/14953353)「君たちはどう生きるか」宮崎駿監督が、新作映画について語っていたこと。そして吉野源三郎のこと 2023.7/14

宮崎駿監督は、以前にもこれと同じようなことを話していたことがありました。

1999年、アメリカで「もののけ姫」が劇場公開されるにあたって、宮崎駿監督は、現地で取材を受けています。

そのとき、宮崎駿監督は、現地のインタビュアーに、

子供にはバイオレンスが強すぎませんか?

と質問を投げかけられたのに対し、

次のように答えています。

うんと小さい子供には見せたいとは思わない。

バイオレンスは映画の見どころにはしていない。

子供たちの住んでいる世界にバイオレンスがあることは、子供達が一番よく知っている

バイオレンスは人間の一部だから。

それをどんな風にコントロールするかが一番の課題なんです。

予想以上に子供たちがこの映画の方が真実を描いていると受け止めてくれたようです
。」

宮崎駿監督の中には、当時から、

子供に本当のこと〈リアル〉を伝えたい

という思いがあって、それがふつふつとしていたのでしょうか。

宮崎駿監督は、子どもの為に作品を作り続けてきたといいます。

宮崎作品は子どもだけでなく、大人もアニメの世界に引き込んだ。だが宮崎自身は、アニメは子どものものだ、という信念を持ち続けた。その思いはずっと変わらなかったという。

日本経済新聞(https://www.nikkei.com/article/DGXZZO59417580X00C13A9000000/)(2013年)

「君たちはどう生きるか」に描かれた少年の生臭さ・葛藤

少年っていうのは、もっと生臭い、いろんなものが渦巻いているのではないか

僕らは葛藤の中で生きていくんだってこと、それをおおっぴらにしちゃおう。

といいますが、

それでは、「君たちはどう生きるか」にはどのような少年の生臭さ葛藤が描かれていたでしょうか。

ピックアップしていきます。

「君たちはどう生きるか」には、

人間の生々しい感情が生き生きと描き出されていました。

眞人少年の葛藤

眞人(マヒト)

最愛の母の死を受け入れなければならない
 ↕️
受け入れられない


継母ナツコを新しい母として受け入れなければならない
 ↕️
受け入れられない


父親が学校に車で送ってくれると意気揚々と言うが、↕️
うれしくない


✔️ワラワラを食べてしまうペリカンが許せない、
 ↕️
ペリカンも食べなければ生きていかれないことを理解する


この他にも、

  • マヒトの自傷行為
  • マヒトのエディプスコンプレックス

など、作中には複雑な感情が登場します。

▼眞人(マヒト)の自傷行為・車登校がイヤだったわけ

▼夏子(ナツコ)はナツコで葛藤があった

「君たちはどう生きるか」は子供向けじゃない?

「君たちはどう生きるか」は子供向けではないといわれます。

それは、作中にこういった複雑な感情の描写があったことも、

そう言われるようになった理由のひとつでしょう。

SNS上では、親が子供に見せていいものか、戸惑っている様子がうかがえました。

▼「君たちはどう生きるか」の推定対象年齢は

若い世代の集客が、

お盆休みのかきいれ時にも、思ったように集まらず、

興収が、思ったより伸び悩んだことを、

メディアが報じていました。

しかし子供にこそ観てほしい、という声もあります。

こういった生臭い感情や葛藤は、

誰しもが秘めていることで、

子供の内から感じていること。

避けては通れないこと

なのでそれをどう乗り越えていくか。

それが重要だ。

それが、

宮崎駿監督が作品を通して伝えたいこと、言いたいことのひとつだったのではないでしょうか。

「君たちはどう生きるか」興収

ジブリ映画「君たちはどう生きるか」伝えたいこと・何が言いたい?
(2)生と死

宮崎駿が友情をこめて描く、
生と死と創造の
自伝的ファンタジー。

「君たちはどう生きるか」パンフレット あらすじより

ジブリ映画「君たちはどう生きるか」を観て、

結局何が伝えたかったのか、言いったかったのか分からずとも、

漠然とした命に関するメッセージを受け取った方は多いのではないでしょうか。

作中に描かれた生と死

「君たちはどう生きるか」に描かれた生と死
(1)ペリカンに捕食されるワラワラ

スタジオジブリ(https://www.ghibli.jp/works/kimitachi/#frame)ワラワラ。とてもかわいいと人気

ワラワラには、

人が生まれ変わる前の姿

だという設定があります。

ワラワラは、

ペリカンに襲われると、いともたやく食べられてしまいます。

ヒミがペリカンを花火で追い払ってくれるのですが、

その火の巻き添えとなってまた犠牲になるワラワラが出てしまいます。

そうしてやっと生まれる命。

ワラワラは、

遺伝子の象徴であると考えられています。

ワラワラは、DNAのように、螺旋状に繋がるようにして上の世界へと昇っていきます。

”あなたたちが生まれたのは奇跡だ”

というメッセージが込められているかもしれません。

また、母親ヒサコは死、ナツコは赤ちゃんを授かりました。

輪廻転生

といった、人は皆死、生まれてきたというメッセージも、込められているかもしれません。

「君たちはどう生きるか」に描かれた生と死
(2)ワラワラを捕食しなければ死んでしまうペリカン

しかしペリカンもペリカンで、食べなければ生きていけません。

ワラワラもペリカンも、同じ命です。

”わたしたちは命を頂いて生きている”

というメッセージが籠められているかもしれません。

マヒトが大魚の腹をかっさばくシーンもありました。

「君たちはどう生きるか」に描かれた生と死
(3)若いキリコと、年老いたキリコ

大人にも子どもの頃はある。

これは当たり前のことですが、

子供のときには、自分のお父さんお母さんは、

生まれたときから、お父さんとお母さんなのだと思ってはいませんでしたか。

お父さんお母さんにも、子供時代があり、

おじいちゃんおばあちゃんにも、子供時代がありました。

ばあやのキリコですが、

彼女の若い頃を知る前と知った後にみる姿とでは、

ずいぶん印象が違って見えたのではないでしょうか。

”誰にでも若い頃があり、そして年老いていく”

というメッセージが込められているかもしれません。

「君たちはどう生きるか」に描かれた生と死
(4)早死にすると知ってもマヒトを生む未来を選択したヒミ

ヒミは、マヒトの母親の若い姿です。

物語のクライマックスでは、

ヒミが、長生きすることができるかもしれない未来より、

マヒトを出産する未来を意気揚々と選択します。

ヒミとって、マヒトを生むという未来は、

長く生きることより重要なことだったということです。

”人生は長さより質だ”

というメッセージが込められているかもしれません。

早くして親を失った子どもたちがこのシーンを観たら、

救われるものがありそうですよね。

ジブリ映画「君たちはどう生きるか」伝えたいこと・何が言いたい?
(3)ありがとうの感謝

スタジオジブリ 大叔父様

ジブリ映画「君たちはどう生きるか」は宮崎駿の自伝的ファンタジー

ジブリ映画「君たちはどう生きるか」が宮崎駿の自伝的物語だということは、

各メディアの取材で明らかにされていることであり、また、

同作のパンフレットや関連書籍に明記されていることでもあります。

2023/8/11、7/14の映画公開に遅れて、

ジブリ映画「君たちはどう生きるか」のパンフレットが販売されました。

▼パンフレットの内容ネタバレ

ジブリ映画「君たちはどう生きるか」の実在モデル

登場人物モデル
牧眞人(主人公)宮崎駿監督
牧勝一(父親)宮崎勝次さん(駿さんの父親)
牧ヒサコ/ヒミ(母親)宮崎美子さん(駿さんの母親)
サギ男鈴木敏夫プロデューサー
キリコ保田道世さん(ジブリスタッフ)
大叔父様高畑勲さん
大インコ宮崎駿監督

実在モデル詳細や相関図はこちら

パンフレットから読み取るもうひとつの「伝えたいこと・言いたいこと」

ジブリ映画「君たちはどう生きるか」パンフレットに掲載されていた、

「君たちはどう生きるか」のあらすじです。▼

「少年眞人は、
 母を追って、
 生と死の世界へとむかった———。

 そこは、死が終わり、
 生が始まる場所だった。

 眞人を導いたのは、
 嘘と真を使い分けるサギ男。

 少年は友と出会い、
 母と再会し、
 創造主・大叔父と向き合う。

 あなたがいてくれて、本当に良かった。

 宮崎駿が友情をこめて描く、
 生と死と創造の
 自伝的ファンタジー。」

「君たちはどう生きるか」パンフレット あらすじより

パンフレットのあらすじに出てくるのは、次の登場人物です。



サギ男

大叔父

この物語において、彼らが主要人物であることがいえると思います。

彼らをモデルに置き換えてみます。

宮崎美子さん

鈴木敏夫プロデューサー

高畑勲さん

そうしたとき、

あなたがいてくれて、本当に良かった。

というメッセージが心に染みます。

パンフレットのあらすじの結び言葉、

宮崎駿が友情をこめて描く、
 
生と死と創造の
 自伝的ファンタジー。」

というのも腑に落ちます。

母親の存在はいうまでもないとして、

部外者から見ても、

鈴木敏夫プロデューサーと高畑勲さんは、

宮崎駿監督の人生のキーパーソンであると感じます。

▼次は、宮崎駿監督がいかに高畑勲さんのことを慕っているかが分かる記事です。

「今は、どうなんですかねえ。でもいまだに宮さんと話していると、どんな時でも高畑さんの話になりますね

「あとね、これはちょっと普通の人にはわからない感覚だと思うんですけど、二人きりになった時に『鈴木さんさ。パクさん(高畑監督)の元から、いろんな人が去っていったでしょう。残ったのは、俺一人だよね』って本当に嬉しそうに自慢したりするんですよ

宮崎駿から高畑勲への深い愛情を感じずにはいられない。

「うん、宮さんは高畑さんを愛しているんでしょうね。『ぼくの見る夢はいつもひとつしかない。パクさんが出てくるんだ』って言っていたこともある。ところが、片思いなんですよね……高畑さんていうのはひどい男ですよ(笑)」

AERAdot(https://dot.asahi.com/articles/-/95984?page=2)インタビュイー:鈴木敏夫

エンドロールでも「ありがとう」

また、ジブリ映画「君たちはどう生きるか」のエンドロールには、

スタジオジブリの、総務や会計のひとの名前まで流れるというサプライズが。

▼「君たちはどう生きるか」エンドロール内容

宮崎駿監督は、

息子が3歳のときには3歳の子供の為、

小学校のときには小学校の為の映画を作ろうと思っていたといいます。

そして息子たちが大きくなってから制作した「千と千尋の神隠し」は、

友人の娘の為に作ったのだそうです。(経済新聞(https://www.cinematoday.jp/news/N0057203)より)

ジブリ映画「君たちはどう生きるか」は、

宮崎駿監督の集大成だといわれています。

制作期間も、制作費も、

今までの作品とは、比になりません。

今作品は、

子供たち以外にも、贈りたかったひとがいたのかもしれません。

小まとめ

ジブリ映画「君たちはどう生きるか」には、

宮崎駿監督の集大成にふさわしく、

母親、父親、家族、高畑勲さん、鈴木敏夫プロデューサー、スタジオジブリスタッフへの、

個人的な、

あなたがいてくれて、本当に良かった。ありがとう

という感謝のメッセージが込められているのではないでしょうか。

ジブリ映画「君たちはどう生きるか」伝えたいこと・何が言いたいかを考察【まとめ】

生臭い感情が渦巻く葛藤の中で、

君たちは葛藤の中でどう生きていくか。

宮崎駿の人生を通して、導こうと、問いかけているのではないか。


また、人間の永遠のテーマである生と死について、語り掛けている。

また、家族や仲間たちへの、

「あなたがいてくれて本当に良かった。ありがとう」

という個人的なメッセージが込められているのではないか。

宮崎駿監督の人生を通して物語が表現されることによって、

観ている人にのしかかる「人生」という言葉の重みがえげつないものになっていますよね。

鈴木敏夫プロデューサーは、雑誌『SWITCH Vol.41 No.9』の中で、

宮崎駿監督へのお礼のようなものだとも話していました(制作期間、製作費をかけずに、好きにやってもらうことについて)。

言いたいこと、伝えたいことは別にして、

「君たちはどう生きるか」は、

宮崎駿監督が自分自身に贈る、自分へのご褒美ともいえるかもしれません。

▼これぞ集大成…過去作品のオマージュがすごい

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