高山一実の『トラペジウム』は、
面白い?
それとも、面白くない・つまらない?
※ネタバレ有り
「トラペジウム」は、つまらない・面白くない?【映画】
「トラペジウム」の映画、初日に観に行きました。
金曜日だったこともあってか、
お客さんはあんまり入っていなかったです。
結果…面白かったです!
よく上手にまとまっていたな、という感じです。
すごく面白かったか、
と聞かれると、
それは初めに原作を読んでいたこともあってか、
う~ん…というのが正直な感想ですが(汗)
かといって退屈する時間はなかったですし、
あっさり楽しめる映画だと思いました。
女の子の声がみんな個性があってそれぞれ可愛かったです。
それが一番観ていて楽しいところだったかもしれないです。
一番感動したのも、
女の子たちがアイドルデビューして歌を歌うシーンでした。
なんかそこだけやけにぬるぬる動いていて…
そこだけは3Dだったのかもしれません。
あとは、主題歌がすごく良かったです。感動しました。
男の子の声も、
声優ではなくて木全翔也さんというアイドルの方が演じていたのですが、
声優に負けないくらい上手だったように感じられました。
たまに俳優が声優にキャスティングされると棒読みだと叩かれていることがあるので…
原作小説は、
デビューするまでが長くてぐだぐだに感じられる部分もあったのですが、
映画はサクッとまとまっていて、
全体的にテンポが良くてとても観やすかったです。
東ゆうも、
原作よりひどい奴に描かれていましたが、
だからこそ、
女の子たちの関係が悪化する描写に説得力があったり、
東ゆうの成長もよく感じることができて、
とても良かったです。
原作小説を読んでいて違和感を感じていた箇所が、
映画では見事に全て修正されていた…
という感じでした。
しかしリライトするのと、
土台を叩き上げるのでは、訳が違いますよね。
原作という素晴らしい土台を叩き上げた高山一実さん、
改めてすごいなとリスペクトしました。
アイドルが執筆したというにはピッタリな、
かわいい、
みずみずしい物語だったと思います。
高山一実さんは、
「尊敬する周りのアイドルの人には共通してこれがある、と思っているものを表現した」と、
メディアの取材で話していたかと思うのですが、
それは、
「何が何でも諦めないこと」なのだったのかなと、
映画を観て思いました。
(以降は、原作小説の感想になります)
「トラペジウム」は、つまらない・面白くない?【原作小説】
「トラペジウム」は、つまらない・面白くないというみんなの感想
申し訳ないけど、
面白くなくて残念作すぎた。
ワクワクするものが、
何もなかった
サラーと読めたけど、
面白いか?と聞かれると…う~ん。
何も残らなかった
ただつまらないだけではない。
ポップな文体で個性があるし、
アイドル業と両立させたことは賞賛に値します
トラペジウム読了したけど、
面白くない。
感情移入も全然できないし、
ストーリーに引き込まれることもなく、
心が動くこともない。
淡々と進んでいくから、
日記を読んでる感覚かな
「トラペジウム」は、面白いというみんなの感想
トラペジウム、
声に出して笑った!
最後泣きそうになった。
学校の図書館にも置いてほしい
ページもあるのに、
一気読みしちゃった!
久しぶりにつまらないと思わず読み切れる小説だった
現役のアイドルであるかずみんだからこそ、
これほどまでに主人公の心情や感性をリアルに描けたんだと思う。
アイドル活動と、
執筆活動を両立させるかずみん、すごい!
デビュー作でこれってすごくない?
アイドルが書いたなんて分からないし。
トラペジウム、
ストーリーも良いし、
主人公の成長が感じられるのが良い
SNSでリサーチしたところ、
全体的な感想としては、
「面白い」という意見の方が、「面白くない・つまらない」という意見より、多かったようです。
「面白い」派の具体的な感想としては、
▪アイドルになりたい子の描写がリアル
▪主人公の成長が感じられる
ということでした。
「面白くない・つまらない」派の具体的な感想としては、
一貫として、
▪何も感じなかった
というものでした。
筆者の感想
※この先、ネタバレあり
②ポジティブな感想(面白い)
『トラペジウム』を読んで面白いと感じたのは、
やはり描写がリアルに感じられたところです。
ということで、
読んでいて描写がリアルだと感じたところを、
ひとつずつあげていきます。
まずいっこめにあげるのが、▼
①主人公たちが、ボランティアで、車椅子に乗っている人の山登りを手伝う。
障害者1人につき、介護者が4人つくのだが、その介護者が4人共が女子というのは、介護される側からしてみれば不安。
取材したんだろうなと思えますよね。
女子4人では非力で、
介護される側からしてみれば登山では不安だということですよね。
なるほど、と思いました。
実際、普段は男性介護者より女性介護者を好む利用客でも、
命が関わってくるような内容や状態になると、
急に力持ちの男性介護者が良くなる方、
いるんですよね。
からだには代えられないのでしょうね。
馬場さんが主人公に対して、
「友達2人連れてくるなら、数足りなくなるから教えといてもらわないと!」
といった感じで注意するシーンに関しては、
そういう問題があるのであれば、
馬場さんがあらかじめ主人公に確認しておくことだったのではないか、
と感じました。
ボランティアにきてくれている高校生相手に大人気ないというか。
しかし、そういう完璧でない大人の姿込みで、リアルに感じました。
それとも、
ボランティアに参加する動機が不純であることを、
見抜いていたのでしょうかね。
そうやって色々考えさせてもらえたので、
楽しかったです。
②主人公の英語が本場で伝わらないシーン
これもリアルですよね。
主人公親子の惨めさが、ひしひしと伝わってきます。
きっと誰にでも、
このときの親子のように、
頑張ったにも関わらず、むげにされたと感じ、自分の惨めさに惨落ち込んだ経験は、ありますよね。
③整形についての描写
美容整形について説明する主人公の心の中の声に、
まるでそこに誰かが立って説明してくれているかのような臨場感を覚えました。
主人公はアイドルになりたいだけあって、
美容整形に関する知識に長けているのだと思うことができました。
④アイドルになる為の売り込み方
主人公の、ネットやメディアを利用してアイドルになってやろう、という考え方は、
例えばビジネスの進め方としても、
勉強になる部分がありますよね。
「1000年に一度の美女」だといわれる橋本環奈さんも、
SNSでバズったことがきっかけで、
トップスターに上り詰めましたね。
主人公たちの場合、物事がうまく運びすぎた感は否めないですが、
そこは、フィクションの良さですね。
どうやって世間に見つかるか、
どうやったらアイドルになれるか、ということだけを考えて、
したたかに行動に移す主人公の行動力というか迫力には、圧巻でした。
⑤主人公が心の中で人をディスるのが面白い
みんなの感想の中に、「声に出して笑った」という声がありましたね。
どこが面白かったのか考えてみたのですが、
それは恐らく、主人公が心の中で誰かをディスるシーンだったのではないでしょうか。
主人公は、主にシンジを心の中でディスっています。
が、ユーモアがあって、面白いです。
⑥デビュー後のアイドル活動での葛藤
個人体に最も面白かったのは、
主人公達がアイドルになっていたときの話です。
SNSの投稿の仕方や、
コメントの返し方など、
メンバーによって個性が出るのが面白かったです。
アイドルデビューしてからの主人公は、
自分の人気を他のメンバーと比べて落ち込んでいました。
自分が一番人気になりたい気持ちがあるのになぜ、
といったような葛藤も書かれていました。
⑦主人公のアイドルに対する考え方
主人公がアイドルになりたいと思ったきっかけや、
アイドルに対する考え方は、
高山一実さんが実際にアイドルだということあり、説得力がありますね。
リアルな描写に続いて面白かったのが、
やはり切っても切り離せない、
作者が高山一実さんであるということです。
元々乃木坂が好きで、
高山一実さんに興味があったからこそ、
本の内容にも最後まで興味を持ち続けることができたと思います。
アイドルが描くアイドル小説に勝る、アイドル小説はないですよね。
高山一実さんは特に、
アイドルの中でも名が売れたアイドルですから、
説得力も倍増です。
そして最後に面白いと感じるのが、
誤読感が良い、ということです。
最後に残るのは、結局誤読感ですからね。
トラペジウムは、ハッピーエンドなところが良いですよね。
誤読感としては、やさしい、のんびりとした話を読み終えた、という感じがします。
あとは、
アイドルについて、少し学ぶことができたような気にもなりました。
そして、トータルで一番心に残ったというか、
好きだったシーンは、
最後の、
”シンジが大人ぶった子供から、大人ぶらないでも大人になった”
という描写でした。
①ネガティブな感想(面白くない・つまらない)
読中の、全体的な個人的感想としては、
どちらかというと、つまらなかったです。
それは、合う、合わないの部分が大きかったように思います。
一言でいうならば、
”他愛なさすぎた”
というのがしっくりきます。
「日記を読んでるみたい」「何も感じなかった」といった感想がありましたが、
それに共感することができてしまいました。
『トラペジウム』は、
主人公と同じくらいの、
アイドルを夢見るような中学生~大学生くらいの年代の女の子たちに刺さりそうです。
あとは当然、高山一実さんのファンですね。
また、『トラペジウム』は、
小説に読みなれていない人でも、
読みやすい作品なのではないかと感じます。
『トラペジウム』は、
主人公たちがアイドルデビューする仲間集めをするまでが主な話で、
デビューしてからの話はあっさりと描かれています。
現役アイドルがデビューしてからの後を描くとリアルになりすぎるという理由で、
具体的には書きづらい、
ということがあったのかもしれません。
しかし主人公たちがアイドルデビューするというところまでは、
先が読めてしまうので、せっかくならば、
高山一実さんがせっかくアイドルだということもあるので、
アイドルデビューするまでの過程を先早送りにして、
その分、デビューしてからのことをもう少し詳しく読みたかったです。
しかしそれでは、作者の書きたい話ではなくなってしまいますよね。
視点が切り替わったり、
一人称から三人称に切り変わったりしていたことも気になってしまったので、
それも感情移入しにくかったひとつの理由になっていたかもしれません。
美嘉視点はカットしてしまって、
美嘉の、過去にいじめに苦しんで整形をしたという話などについては、
美嘉と主人公共通の同級生や、
馬場さんの口から語らせても良かった気がします。
トラペジウムは、面白い?
それとも、面白くない・つまらない?
結論としては、
面白い、面白くなかったで聞かれると、面白くなかった。
しかし、読んで良かったと思える小説でした。
まとめ
【トラペジウム】面白い?それとも面白くない・つまらない?感想
SNSでリサーチしたところ、
トラペジウムを「面白い」と発信している人の方が多かった印象です。
次のような感想がありました。▼
▪アイドルになりたい子の描写がリアル
▪主人公の成長が感じられる
「面白くない」という意見としては、次の通りです。▼
▪何も感じなかった
『トラペジウム』はアニメ映画が決定し、
2024年5月10日に公開されます。
個人的には、
今はアイドル目指している子が大勢いることですし、
実写化の方が観てみたかったですね。
しかしアニメ映画のメリットとしては、
リアルさには欠ける分、
爽やかにはまとまりそうですね。
原作の中では恐らくあんまり格好良くない容姿をしていると思われるシンジですが、
アニメの中では、イケメンでした。
映画公開後のみんなの感想も楽しみです。