【もののけ姫】包帯の人のセリフとハンセン病最後治った?海外の反応

もののけ姫に出てくる「包帯の人」。

包帯ぐるぐるで武器を作っている姿が痛々しく、心に残ります。

実はこの「包帯の人」がハンセン病(旧らい病)であることは、監督の宮崎駿さんによって明かされています。

「もののけ姫」に患者を登場させた理由については、「武士や百姓(農民)だけでなく、歴史に消えた人、差別された人も描く自由な時代劇を作りたいと(考えた)」と明らかにした。

引用元:朝日新聞(https://www.asahi.com/articles/ASM1W44P0M1WUTIL00N.html)

このページでは、もののけ姫に出てくる「包帯の人」=「ハンセン病(旧らい病)の人」に焦点を当てて、次のことについて考えていきたいと思います。

▪そもそもハンセン病とは何なのか

▪もののけ姫の包帯の人のハンセン病は最後治ったのか

▪もののけ姫になぜ宮崎駿監督はハンセン病の患者を登場させたのかなぜ公表したのか

▪もののけ姫の包帯の人のセリフ世間の反応

もののけ姫に対する海外の反応

目次

「もののけ姫」に出てくるそもそもハンセン病とは何なのか

AbemaPrimeで放送された「二度と学校に来るな」ハンセン病回復者に聞く差別と偏見の歴史」を参考に、まとめました。

ハンセン病(旧らい病)とは、”らい菌”によって末梢神経や皮膚が犯される感染症

体の一部が変形したり、失明したり、(知覚麻痺により怪我に気が付けず状態が悪化してしまうことから)手足を切断しなければならなくなることがある。

日本の治療薬がなかった時代には、不治の病として恐れられ、患者は、法律により、療養所に強制連行され、死ぬまで外に出ることが許されなかった。

患者は差別や偏見と闘わなければならず、
・ハンセン病は遺伝しないものの、子を成すことが許されない
・アメリカから特効薬が輸入され病が完治しても、尚外に出ることが許されない
ということがあった。

佐賀県によると、元ハンセン病患者が療養所での生活を強いられなくなった現在でも、
長年療養所で生活してきたより社会復帰が難しいことや、社会にまだ根強い偏見が残っていることを理由に、療養所への再入所を希望する方もいるとのことです。
(2023年度時点で約810人。国立感染症研究科による)

病自体が大変なのはもちろんですが、差別や偏見といった二次被害がどれだけ苦しいものだったか、当時の過酷な実態を知れば知る程、例え彼らの病が完治しても、心に負った傷まで癒えることがどんなに難しいかを思い知ります。

包帯の人がハンセン病患者であることの描写

▪病を「呪い」とする

▪隔離された場所で生活する

▪偏見や差別に苦しむ

もののけ姫に出てくる包帯の人が、自身のことを「呪われた身」と表現することがありましたが、ハンセン病も当時は「呪い」だと考えられてました。

また、ハンセン病にかかった包帯の人々は、村の人々が「恐れて近づきたがらない」村の一角に集まって仕事をしています。

また、エボシ御前のことを、「わしらを人として扱ってくれた人。わしらの病を恐れず、腐った肉を洗い、布をまいてくれた人」と表現していることから、偏見や差別に苦しんでいることが分かります。

「もののけ姫」の包帯の人のハンセン病は最後治ったのか

治った

もののけ姫の終盤で、シシガミ様に首が返されたことによって、枯れ果てた森がみるみる蘇っていくシーンがあります。

その力は、森を再生させただけでなく、人をも病から回復させました。

包帯を巻いていた女性は、包帯が取れた自分の手が治っていることに気が付き、驚きの表情を浮かべます。

その驚いた顔からも、包帯が取れていて、すっかり元に戻っていました。

「もののけ姫」の舞台は室町時代

宮崎駿監督は書籍「ロマンアルバム もののけ姫」の中で、もののけ姫の時代背景を室町時代に設定した理由について、次のように語っています。

室町時代の前、鎌倉時代は、人が主義主張で生きていた。もっと壮絶な人々が生きていた時代です。それが室町時代になると、得なほう、都合のいい方につこうということで動くようになる(笑)。そういう意味で、室町というのは、ちょっとおもしろい時代だなと思ったもんですから。それに、女たちが自由でかっこいいんです。

ロマンアルバム もののけ姫

ハンセン病の有効な薬「プロミン」がアメリカから日本に輸入されたのは、終戦後の1947年だといわれています。

もののけ姫の舞台となった室町時代は、1336-1573年です。

もののけ姫が薬が輸入される時代に追いつくまで、300年以上あります。

もののけ姫で包帯の人々のハンセン病が完治したのは、まさに奇跡です。

「もののけ姫」になぜ宮崎駿監督はハンセン病の患者を登場させたのか

「もののけ姫」に宮崎駿監督がハンセン病の患者を登場させた理由について、もう少し深堀りしていきたいと思います。

2019年1月27日、国立ハンセン病資料館では、ハンセン病資料館会開館25周年記念として、会館を支えてきた佐川修さんと交流の深かった宮崎駿監督が講演を行いました。

公演の中で、宮崎駿監督は、「もののけ姫」にハンセン病の患者を登場させた理由について、次のように語りました。

ハッキリと業病といわれた病を患いながら、ちゃんと生きようとした人たちのことを、描かなければいけないと思ったんです」

宮崎駿監督は、約50年前、ハンセン病の療養施設の近くに越してきたそうです。

国立感染症研究科によると、2023年度の療養所で暮らすハイセン病の元患者数平均年齢は、87.9歳。

宮崎駿監督は82歳です。

ハイセン病で苦しんだ人々とは、同年代です。

国立ハンセン病資料館を訪れたとき、当時の実態を知って本当に打ちのめされたこと、「おろそかに生きてはいけない」と思ったことを、涙ながらに話されました。

当時も、療養所で何が起こっていたかは、外の世界からは分かり得なかったことが分かります。

宮崎駿監督は優しい方ですね。

住所:〒189-0002 東京都東村山市青葉町4-1-13

「もののけ姫」に投影された理想

もののけ姫の終盤に、タタラ場の人々が、シシガミ様の触れると命を落としてしまう液体のようなものから逃れるシーンがあります。

そのシーンでは、ハンセン病にかかった包帯の人々が、差別や偏見を受けることなく、村の仲間の手を借りて共に安全なところへと逃れていきます。

「病人に手を貸すんだよ!」

という、リーダーの頼もしい掛け声も掛けられています。

その後、包帯の人々は、病が完治するばかりか、変形してしまった体も元に戻っています。

宮崎駿監督が見たかった光景の全てが、もののけ姫に描かれているのだろうという気がします。

宮崎駿監督はなぜ包帯の人がハンセン病であることを明かしたか

2016年、宮崎駿監督は、1/31世界ハイセン病の日を前に、講演で次のように語っています。

「元ハンセン病患者からの相談を受けて、歴史に残す為に公にした」

「ハンセン病患者が、病と偏見や差別に負けず生き抜いた真実を風化させない為に、力を貸して頂きたい」

そんな相談を受けたのではないか、と想像することができます。

「もののけ姫」の包帯の人の長のセリフ

もののけ姫の包帯の人の長が口にした、話題のセリフがこちら。▼

「生きることは誠に苦しく辛い。世を呪い人を呪い、それでも生きたい」

このセリフが好きだという人が多いのです。

その中には、もののけ姫に出てくるセリフの中で一番好きだという人までいます。

「包帯の人」は名前で検索することもできない登場人物ですが、
そんな人が口にしたこのセリフが響く理由は、
それが、このストレス社会で、1日1日を必死に生き抜いている何者でもない自分達の心の声に共鳴するものがあるからなのではないでしょうか。

みんなの声

「もののけ姫」海外の反応

もののけ姫は、海外では「Princess Mononoke」というタイトルで公開されています。

「(ハンセン病を取り上げたことに)韓国より愛と敬意を」

「ジェームズ・キャメロン監督は、「アバター」のインスピレーションとして、宮崎駿の「もののけ姫」を挙げました。面白い事実」

「この映画は津波のように襲いかかる。 潮が引くには時間がかかり、干潮すると土地が変わってしまいます」

「この映画には本当の悪役がいないところが大好きです。 最終的に目標を達成するために対立を利用する、善意を持った人々のグループです。 戦争反対のメッセージがしっかりと伝わってくる素晴らしい映画です」

「こういう映画が終わってしまうのは嫌だ。 ストーリーとキャラクターに没頭してしまい、決して終わってほしくなくなります。 私は続編やシリーズを望んでいますが、このような素晴らしい心温まる物語は放っておくのが最善です」

「この映画はあらゆる戦争の本質を描いています。 誰もが自分たちは善良な人々であり、正しい大義のために戦っていると考えています。 僕らはアウトサイダー、僕らはアシタカ。 私たちはこれらの無意味な戦争の意味を決して理解せず、なぜ平和に暮らせることができないのかを疑問に思うでしょう」

「父が近くのスーパーでこの映画を買ってくれたときのことを覚えています。そして私はこの映画に夢中になり、毎日のように観ていました。 今でももののけ姫は私の心の中にあり、特に兄が軍隊から帰ってきたときにみんなと一緒に見たのを覚えています。 10年以上経ちましたが、子供の頃と同じように今でも大好きです」

みなさん考察が深いですね。

何回観ても考えさせられる映画です。

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